小説は登場人物の心情や場面の変化に注目しながら読むことが重要です。今回は、小説の例文をもとに設問を作成し、解答方法を具体的に解説します。
例文
その日の夕方、陽介はようやく学校の課題を終えて、部屋の窓を開けた。冷たい風がカーテンを揺らし、ほのかに冬の香りを運んでくる。外を見ると、庭先で妹の春菜がしゃがみこんで何かを探しているようだった。「何してるの?」陽介が声をかけると、春菜は顔を上げたが、すぐに目をそらして「なんでもない」とつぶやいた。その言葉とは裏腹に、彼女の表情にはどこか焦りの色が浮かんでいた。
陽介は一瞬ためらったものの、気になって庭に下りた。春菜がしゃがんでいた場所には、バラの枯れ葉が散らばっている。「何かなくしたの?」陽介が尋ねると、春菜はしばらく無言だったが、やがて小さな声で言った。「……昨日、ここに置いたペンダントがないの」
(s-Liveかながわ北山田駅前校オリジナル問題)
設問1:妹の春菜の心情について正しいものを選びなさい。
- 兄に助けを求めたかったが、ためらいがあった。
- ペンダントを失くしたことに全く気にしていない。
- 冬の風景を楽しんでいたため、ペンダントのことは後回しにしていた。
- ペンダントを探している理由を陽介に隠そうとしていた。
解答のためのアプローチ
- 登場人物の心情を読み取るために線を引く
本文において春菜は「なんでもない」と言いながら「焦りの色」を浮かべていることから、心の中では助けを求めたいが、ためらいを感じていることがわかります。この箇所に線を引きましょう。 - 選択肢を比較する
- 選択肢1: 春菜の表情や行動から妥当。
- 選択肢2: ペンダントを失くしたことを気にしている描写があるため✕。
- 選択肢3: ペンダント探しに集中しており風景を楽しむ様子はないため✕。
- 選択肢4: 陽介に隠そうとしたというより、助けを求めるためらいがある様子が本文に記載されているため✕。
正解:1. 兄に助けを求めたかったが、ためらいがあった。
設問2:春菜が「焦りの色」を浮かべた理由として適切なものを選びなさい。
- 陽介にペンダントを失くしたことを知られるのが恥ずかしかったから。
- ペンダントが家族にとって重要なものだったから。
- ペンダントがなくなると怒られると思ったから。
- 陽介に何も聞かれず、探し続けたかったから。
解答のためのアプローチ
- 本文の関連箇所を特定する
本文中で春菜が「昨日ここに置いたペンダントがない」と言っている部分に線を引きます。このペンダントが何か重要な意味を持つものだと考えるのが自然です。 - 選択肢を検討する
- 選択肢1: 恥ずかしさについては記載されていないため✕。
- 選択肢2: ペンダントが何か重要である可能性が示唆されており、本文とも一致するため〇。
- 選択肢3: 怒られるという描写がないため✕。
- 選択肢4: 自分一人で探し続けたかったという描写はないため✕。
正解:2. ペンダントが家族にとって重要なものだったから。
小説読解の3つのコツ
- 心情描写に注目する
登場人物のセリフや表情、行動から心理状態を読み取りましょう。 - 場面の変化に着目する
時間や場所の変化、接続詞の「しかし」「そのため」などに注意を払い、話の展開を追います。 - 選択肢の中で、本文と一致するものを選ぶ
本文に直接書かれている情報を確認し、矛盾がない選択肢を選びます。本文に書かれていない内容があれば、それは不正解です。
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