神奈川県の公立難関校を受ける受験生が避けて通ることができない入試。それが「特色検査」です。
問題を見た方公は、あの文章量や図の多さに圧倒され、それだけで難しいそうと感じている方も多いと思います。そして、対策講座を行っている塾も多いので、「何か特別な対応が必要なのでは・・・」と思っていると思います。
誤解を恐れずに言いますが、特別な対策は必要ありません。
英語の文章も使用されている単語は中学範囲で、中学範囲を超えている単語にはちゃんと訳が載っております。
日本文も決して難解な文ではなく、非常に読みやすい文が多く、理解はしやすいと思います。
また図も多く使われていて、何をテーマにしているのかも、分かりやすい問題が多いです。
問題量の多さと質問がひねられているので、とても難しく感じてしまうのだと思います。
そこでこの特色検査を解きやすくする「コツ」をご紹介します。
①国語の問題(読解問題)とは思わないこと
長い日本語の文があり、一見国語のように思ってしまい、読解問題として取り組むと、ちょっと足元をすくわれると思ってください。
本来、国語の問題では先に問題文を読んで、内容をしっかりと理解した(読解した)上で、問題に取り組むのが王道です。
しかし、この「特色検査」は先に問題に目を通して、何について問われているのかを考えてから、本文に入った方がいいです。
例えば、令和5年の共通問題で出題された問2ですが、(ア)では俳句についての空欄補充です。
選択肢の「あ:」を見比べると、「おぼろげに」「うららかに」「おぼつかな」という意味の異なる3つの選択肢の中から選ぶ問題です。「い:」は「映る(うつる)」「入る」「残る」というニュアンスの異なる3つの選択肢の中から選ぶ問題です。「う:」については、この段階では触れなくていいと思います。
「あ:」の選択肢をキーになると捉えることができれば、OKだと思います。
(イ)は地図の問題です。「後退前線」(ここでは何のことか分からなくて大丈夫です)の位置の年代の比較になります。時代の変化を聞かれていることが分かれば、OKだと思います。
(ウ)はすでに別の問題になっています。蛍の発光について聞かれていると分かれば、OKです。
(エ)はさらに別の問題に移行しています。ここでポイントは「注意書き」をしっかりと読んでおくことです。ゲンジボタルの「餌」が出てきており、川の断面図があり、石や砂・泥、そして流れの速さについて書かれており、問題文に生息可能という文字があるので、ゲンジボタルの幼虫と餌の生息エリアについて書かれていそうだな~と思えれば、OKです。
(オ)特色検査お得意の「テーマをまとめるA君・Aさん」問題です。ここは《課題》の「ホタルと人間とが共存できる環境づくり」がキーポイントです。この問題の【要旨】を教えてくれています。このことを伝えるために、俳句があり、地図があり、発光の実験があり、餌との生息が書かれているのが、それぞれの文なのだな~と分かれば、かなりスムーズに問題に入っていけます。
同年の問1は英文ですが、先に会話文Ⅰ〜Ⅲの注釈の単語に目を通しておくと、かなりスムーズに問題に入れます。「ハイブリッド」「リットル」「ガソリンスタンド」「地球温暖化」「電気自動車」と、これだけで「環境問題」と「自動車」の話だと分かります。そしてその中でも、今注目の「電気自動車」について書かれていると予想できます。
この「コツ」を覚えれば、かなり時短で問題が解けると思います。しかし、これって皆さん普通の生活では、自然に良くやっていることではないでしょうか。
先生が怒った顔で近づいてくる。「何か文句を言われる。おそらく〇〇のことだ。なんて言い訳しよう。いや潔く謝ろう」などと、目に入る情報や過去の情報を屈指して、色々と考えていますよね。
または、お腹が空って我慢できない。しかし、両親は不在。冷蔵庫に食べるものがない。そしてお金もない。棚に確かインスタントラーメンとレトルトカレー、お好み焼きの粉があった。ご飯はない。お好み焼きは作れそうにない。
なのでインスタントラーメンを作ろう。あまり作ったことがないから、YouTubeで作っている動画を探してみよう。と見よう見まねでインスタントラーメンを作った経験ってないでしょうか。
この力を「問題分析能力」と「問題解決能力」と言います。
自分が置かれた状況を冷静に分析して、対応策を考えて、現実的に解決できる方法を決めていき、問題を解決します。
この力は社会で求められる力です。
社会に出るとテストのように、問題に対する答えは決まっておりません。
時には何が問題なのかすら分からない状況もあります。
トップ校は学力だけでなく、このような将来求められる力を持っている生徒が欲しいのです。
➁「正しく読み取る」と「一般常識」が求められる
特色検査の問題は「素直」ではありません(笑)。
少しひねって出題されます。それは当然のことで、トップ校を受験する生徒の学力差はあまりないので、差をつけるためには仕方ないと思います。
例えば、先程の令和5年の共通問題の問1の英文問題の(ア)の問題は、「私たち家族はガソリンを約〇〇%節約できた」のかを聞いております。
以前の車は30リットル以上のガソリンを使ったが、新しい車(ハイブリッド車)は20リットルちょうどしか使っていない。
という文があり、そこから算出する問題です。
計算順序は以下の通りになります。
①往復するため176km×2=352kmを車は走行します。
②1リットル当たり11km走る車なので、352÷11=32リットルとなります。
③新しい車はちょうど20リットル使用しているので、使用比率は20÷32=62.5%なので、
100%ー62.5%=37.5%となり、四捨五入して38%となります。
このように書いてある数値をしっかりと読み取り、計算することで答えを導くことができます。
※頭が真っ白になった時の裏技です。35リットルに近い34であれば「about 35km」と書かれるはずなので、30と35の中央値である33で計算して近似値を探す方法もありかなと思います。
同じく(ウ)ですが、こちらは電気自動車をフル充電するのに使用する電気の量は、1家庭が1年に使う〇〇に値するかを答える問題です。
こちらの計算方法は以下の通りです。
①電気自動車をフル充電にするのに60kWh、家族は1年間に4260kWh使用するのですから、
60÷4260=1÷71となり、1/71(71分1)となります。
1年間は365日なので、365×1/71=5.14・・・となり、7.「5days」が答えになります。
この問題も書いてある数値をしっかりと読み取り、計算することで答えを導くことができます。
※頭が真っ白になった時の裏技です。わざわざ発表する訳ですから「1時間」とか「12時間」の時間単位では、驚く人はあまりいないと思います。下段の選択肢にある程度絞り込めると思います。8択が4択に変わる瞬間です。そして、7・8ぐらいの日にちが掛かるとなれば、「確かにコストパフォーマンスが悪いよね」となると思います。8択が2択になる瞬間です。しかし、あくまでも最終手段と考えてください(笑)
問2の(イ)の問題は一般常識が求められます。
西暦を和暦に直せるかどうかで、問題が解けるかどうかが決まってきます。
18世紀末は何時代か。和暦では明治時代です。ちなみに、
明治時代:1868年〜1912年
大正時代:1912年〜1926年
昭和時代:1926年〜1989年
昭和5年〜昭和10年頃というと「西暦の下二桁-25が昭和〇年」なので、1930年〜1935年頃になります。
昭和30年は、西暦1955年。
文章Ⅰでは、【1960年代の終わりには、蛍は東京からまったく姿を消してしまった】と書いてあるので、1955年はまだ東京には若干数の蛍がいる状態なので、Dが最も正解に近いと言えます。
また文章Ⅰには【明治・大正・昭和と進むにつれて、蛍の名所は東京の中心部から山手線の外側へ】とあるので、昭和初期である昭和5年〜10年頃は、山手線付近には蛍がいたと予想できますので、Bが最も正解に近いと言えます。
よって、「5」が正解になります。
ここでは3つの常識が問われています。
①和暦の西暦を知っている
②西暦と和暦の計算方法
③山手線の位置関係
ここが「特色検査」の大きなポイントと言えます。
そう、カズレイザーさんや東大王のクイズ番組のような知識が問われてきます。
※そこまで難解ではありません。
このような知識が試験の時にとっさに出るかどうかも、特色検査が難しいと思わせている点かと思います。
②は「昭和⇔和暦」「平成⇔和暦」は覚えておいた方がいいと思います。
平成は「西暦の下二桁に12を足すと求められます」
まとめ
以上、特色検査のコツをお伝えしましたが、何よりも大切なことは「基礎力」をしっかりと身に付けておくことです。
そのことについて以下の記事に書いておりますので、合わせてご覧ください。
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